第5章 万事屋
〜 雪 said 〜
私は厠に行くと嘘をつき、屯所から抜け出した。
門の見張りが居たので壁を登ってようやく屯所から少し離れた街にきた。
これからどうすればいいのだろう。この国には居れない。でもお金が無いから他の国に行くこともできない。
そんなことを考えながら歩いていた。
空は澄み渡るような青空。
私は立ち止まり伸びをした。
雪)はぁーあ。私何してんだろ…
思わずそうつぶやいた。
すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
銀)ほーんと、お前は何してるんだ。
すぐさま振り返る。
そこには銀さんが立っていた。
その後ろには新八さんと神楽さんも立っている。
雪)…っ‼︎
私が逃げようとするとすぐに手を掴まれた。
銀)まてよっ‼︎
振りほどこうにもほどけない。
雪)離して下さい!
銀)俺たちはお前を探してたんだ。
おそらくこの前そよちゃんが来たときに頼まれたのだろう。
雪)私は探さないでと手紙を‼︎
銀)お前がどうなろうが俺たちの知ったこっちゃねぇ。でもお前が居なくなったら悲しむやつがいるだろ‼︎これだけ必死に探してる姫さんとお前は理由も伝えず置き手紙一つで姿を消すのか?
銀さんは真っ直ぐな視線を向けてくる。
私はその目を見返すことができなかった。
雪)…はい。だからもう探さないでください。
そよちゃんが私を大切に想ってくれてることは分かってる。そして私もそよちゃんが大好きだ。
だから私はここにはもう居れない。
いちゃいけない。
大切な人をこれ以上失いたくない。
新)雪さん!本当にそれでいいんですか?
雪)…………。
新八さんと目を合わせられなかった。
だから私は視線をそらした。
すると路地裏の影から新八さんへ銃口が向けられているのに気づいた。
雪)あぶないっ‼︎
私はとっさに新八さんの前へ出た。
〈バァン〉銃声