第2章 木槿の花『信念』
割と広い部屋に1人。することもない。…そうだ、探険しよう。まだこの建物のことわかってないし。…でも、1人じゃ怒られちゃうかな。総司くんでもいればいいんだけど。
「あんた、そこで何をしている。」
「あ、一くん!久しぶり、覚えてる?」
「…琴葉か。何故、あんたがここにいる?副長の話では江戸で穏やかに暮らしていると、聞いたが。」
「うーん、説明するのは大変だけど、とりあえず、お兄ちゃんには認めてもらったよ?」
「そうか。ところでどうしたのだ。」
「あ、そうそう。この建物のこと教えてほしいの。今日来たばかりでどこに何があるのかわからないから立ち入っちゃいけない部屋に入ったら困るでしょ?」
「致し方ない。案内しよう。ついてこい。」
「ありがとう、一くん。」
この建物は道場もあって、たくさん部屋もある。だから新選組の屯所にしたと一くんから聞いた。とりあえず、台所、お兄ちゃんの部屋、試衛館時代の知り合いの部屋は教えてもらった。大体は一緒みたい。でも、みんなそれぞれに巡察とか隊務があるらしくて、あまり相手はできないかも。一くんは優しく、一つ一つ教えてくれた。