第7章 決心
「別に、行かなくてもいい。私は今迄通りあの学校に行く」
「辛い思いをしてまでか」
「…辛くなんてない」
「だったら何故、怪我をする度に保健室に行く?」
承太郎はすぐに問うが、は答えを言わなかった。いや、言わずとも答えは分かっているのだ。
怪我をしたから保健室にいく、というよりは、誰かに怪我を見せてアピールしていた。誰でもいい、手を差し伸べてはくれないかと。だが素直ではないはたとえ手を伸ばされてもすぐには握り返すことができない。
「…アメリカに行く案は花京院が出してくれた、俺はこの国から出るなんて考えもしなかったがな」
「引っ越したって嫌な噂は付きまとうものだ。だったらもう何もわからない、言葉も分からない所に行ってしまえば噂なんてついてこない…そうだろ?」
は静かに頷く。
「その知り合いも医者だ、の怪我はすぐに治してもらえる」
そういうと承太郎は祖父と話をしてくると言って家に帰って行った。
残された花京院とは暫くの沈黙の後、口を開いた。
「…勝手に決めて申し訳なかった」
頭を下げて謝罪をする。はその様子を見て何も言わずに首を横に振った。
「僕は、見ていられなかった、怖かった。がどんどん弱くなっていくのが」
「…弱くなんてない、私には力があるんだから」
「そういう事じゃあない」
いなくなってしまうかと思っていたんだ、と花京院は呟く。
静かな病室内ではその呟きはしっかりとの耳に入ってきた。
「私、本当は助けてほしかった」
ぎゅっと布団を握り、目には涙をためていた。