第13章 39日目
1週間前に、
女優の永尾美嘉から呼び出された。
元々ドラマでの共演もあり
知らない仲ではなかったけど
わざわざジャニーズと2人きりになるなんて
よっぽどだと思い
呼び出しを受け入れた。
「和也くん、私見ちゃった。」
この子は昔からそうだ。
ちょっと遠回しな言い方を得意とする。
めんどくさそうに
「なにを」
と言うと、
意地悪そうな顔をして
小さく微笑む彼女が
「もう新しい彼女、出来たんだ?」
と冷たい目をして言った。
「ていうか私と被ってたりした?」
ふざけたように笑う彼女の目を
しっかり見た。
「いや、それはない」
笑っていた美嘉の顔が
少しだけひきつった。
「…そ、なんだ、
何にもなく振られたのね、私」
その言葉に何も返せない。
美嘉は俺の
前の人。
と出会う前に付き合っていた人。
私にウーロン茶ぶちまけたのは
この人です。
(ぶちまけられた私が悪いんだけど)