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箱庭【夢小説の庭】

第3章 【短編】待ち恋




「私、そのうち殺されるのかも。」
「…はい?」


ある日の旧調査兵団本部の食堂。殺される宣言をぽつりと零した私に、一緒にいた友人のペトラが目を丸くした。…のは一瞬で、すぐに怪訝な表情で私を見る。このご時世、そんなのはロゼだけじゃなくて私や皆同じよ、と今更何言ってるのよとでもいいたげな声色で言い放つ。

違うんだよペトラ。そもそも根本的なことが違う。

確かに、調査兵団は常に死と隣り合わせだ。だって私たちは巨人と戦っているのだから。でも、私がいいたいのはそれじゃない。

"巨人に殺される"ということではないのだ。


「…兵長に…」
「兵長?」
「…兵長に、殺されるかも…私…」
「…………はい?」


調査兵団に入団してから随分と経つ。討伐数も討伐補佐数もそれなりに稼いできて、ある程度周りから慕われるようになってきた。新兵も私を頼ってくれるし、団長からも褒められたりして。私なんかが…と思いつつも悪い気はしない。しかも訓練兵の教官とかいうちょっとした昇格もあって、環境も何もかもいい方に転がっていく。

ただ、一つ。
ずっとずっと変わらない"アレ"を除いては。


「え、と?何?どういうこと…」
「ここにいたのか、ペトラよ。」
「あ、オルオ。」
「…本当、オルオって…はぁ…」
「なんだ?お前如きが俺に文句などぅえっ!?」
「わ、オルオ!大丈夫!?」
「慣れないものまねなんてするから舌噛むのよ。」
「う、うっせぇ!つーか団長が呼んでんだよ!ペトラ、さっさと来い!緊急会議だ!」
「え!そういうことは早く言いなさいよ!」


話は後でね!と言い残した彼女は、オルオと痴話喧嘩のような口喧嘩しながら慌ただしく去っていった。

このまま一人食堂に居ても仕方ないので、食べ終えた食器類を手に立ち上がる。ちなみに今日の訓練は終わった。訓練兵は対人格闘の訓練のため、立体機動の教官である私は用無し。その予定を聞いて立体機動も技術班が定期的に行う精密メンテナンスに回してしまった。やることないと言っても、このままぶらぶらして一日が終わるのは勿体ない。もう少し息抜きしてから体力トレーニングでもしよう、と溜息をはいて旧本部の建物を出る。
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