第1章 悲しみ
ちょうどその頃。
千年公は楽しそうにとある部屋の扉を開けた。
「そこのお2人さン♡
クロス捕獲はどうなっていマスカ?♡
おやおや、泣いているようデスネェ?」
グスグスと泣きながらトランプをしているのは、
ジャスデビの双子だ。
「悲しくなって、勝手に出てくるんだよぉ、ヒッ」
「なんか、止まんねぇんだよな」
千年公は可愛いらしく首を傾げる。
「歌姫ですカ?♡」
その問いに、ジャスデビは揃って頷いた。
ジャスデロがズビーッと鼻をかむ。
「リラン...もう会えないのかな。ヒッ」
「どうでしょうネ♡
さあさア、いつまでも終わらない
トランプなんかしてないで、
クロスのトコ行ってきてくだサイ♡」
ポンポン、いやポフポフと手を打つ
千年公に、デビットとジャスデロは立ち上がった。
「「分かったよ、千年公」」
「頼みましタヨ?♡
あと、2人とも鏡を見た方が良いですネェ♡
メイクが崩れてマス♡」
踊るように、千年公は部屋から出ていった。
「リラン...グスッ、もう涙止まんないよ、ヒッ」
「俺も.......また一緒に遊びたかったな。
2人じゃトランプ終わらねぇんだよ」
カードを片付けつつ、
ポタポタ落ちる涙を拭う。
「クロスなんかよりリランとこ行きたいね...ヒッ」
「でも次に会ったらあいつは敵だ。
....行くぜ、ジャスデロ」
「う~デビット...分かったよ...ヒッ」
最後に部屋を振り返った2人は、
悲しげに呟いた。
「「さよなら、リラン」」
静かになった部屋には、
カードだけが残されていた。