第1章 ただいま
足音が聞こえた。懐かしい音だ。
「やほー匡」
後ろに立っていたのは蘭だった。
五年前、先先代にだけ行き先を告げて消えた、蘭。
「お前、五年もどこ行ってたんだよ!」
全く蘭は変わっていない。
「実沙緒のクラスメートってか親友やってたんだけどさー、匡が来るっぽかったから退いてきた。」
いつもどうりSっ気たっぷりで遊んでる様な笑顔。
「てか、はやく行かないと奪られちゃうよ。あたしもあんたもいない今が一番危ないんだから!」
匡は人間界に行く準備をしている所だった。
明日から人間界に行き、明後日から高校で教師として働くのだ。
「あとさ、あたしが居ることは華とあやめと令と悠と…あといたかな?あっ、先先代以外には秘密ね。」
こんなことをわざわざ言うということはこの人たちには言っておけ、ということだろう。
「意外と多いな。じゃあ明日から俺いないから、あいつら頼むな。」