第6章 子供
「あ…そういえばなずなちゃんが居ませんね。いつも真っ先に飛び付いて来てくれるはずなのに」
「なずなは留守番組なんです。今は赤ちゃんのお守でもしていると思いますよ。全員連れて来る訳にもいきませんからね。」
「なずなちゃん説得するの、ものすごーく大変でしたけどね。『なずなも剛兄ちゃんと一緒に行くの~』ってずっと言ってましたから。」
「す…スマン」
なずなちゃんは剛さん大好きだからなぁ。昔はいつも
『大きくなったら剛兄ちゃんのお嫁になるの。』
って言ってたもんな。
「なずなちゃんに会いたいなぁ…」
「今度、比翼院寄るか。」
「うん!颯ちゃんは初めてだよね。」
向こうの部屋でぐっすりな颯ちゃん。まだ三歳だ。私もまだ十九歳。匡に出会わなければ…私が仙果じゃなければ、きっと今頃はマナちゃん達と大学に行って普通に過ごしていたんだろうな…
「思ってみれば想像もしてない人生になりましたね…。まさか妖と結婚して十六歳で母親になるなんて。」
それは桃も一緒だ。若干性質は違うが。
「私もそうだよ。」