第4章 十年前
「ここ…どこだ…」
匡は実沙緒に会おうとしていた。ただ、実沙緒は東京に居るのだがなぜか匡達は北海道にいる。まだそのことにだれも気付いていない。
「だからやめましょうと申しあげたのに…」
令と悠がついて来ている。
「まぁ…とりあえず下りるか。」
誰かが登ってきた。もうそろそろ日が暮れるというのに。
「凛…唯…こうちゃん…どこぉ?」
声がする、と思ったら小さな女の子がいた。
「どうしたの?」
悠が優しく聞いた。
「僕…だぶん迷子…」
たぶん…たぶんかぁ…
「名前は?」
今度は匡が聞いた。
「桜園桃。」
「家の場所はわかるか?」
すぐ次の質問をした。
「匡様、家が分からないから迷子なんですよ。住所がわかってもこの状況じゃどうしようもありませんし…とりあえず下りましょう。」
尤もな意見だ。
「そうだな。」