第14章 奇跡を信じるのならば...
「なんで、お前が......っ北山!!」
なぜあいつがここにいるんだ......
あんなに、来るなって言っておいたのに......!
「はぁ...はぁ...はぁ......藤ヶ谷......」
宏光は息をだいぶ切らしており、息を整えていた。
「っなんでお前がここにいる!ここは危険だ、人間が来るようなところじゃない!」
「だってよ......ほっとけるわけねぇだろ?」
「っ......!」
「お前も、ユリも、リョウガ君も......」
「......誰なの?」
唐突にあられた人物を見ながら尋ねるユリ。
「ユリ......」
「っ......!?」
「お願いだ......これ以上、藤ヶ谷達に手を出さないでくれ......」
「......。」
「な、なに馬鹿な事を言っている!俺達の役目は人間を殺すことだ!
貴様人間如きに言われる筋合いはない!」
「リョウガ君......」
宏光side
「っ早く......早く......!」
早くユリ達の元に行かねぇと......!
宏光は血の匂いを漂わせる街の中を走り続けていた。
「きっとユリ達はあの先にいるはず......っ」
(こうなるなら......もっとジムに行っとけばよかった......)
しばらく走り続けていると......
「ガウッ!」...くっ!」
「っ藤ヶ谷!?」
目の前には太輔であろう狼に噛み付く一匹の狼、
そしてしばらくの間引きずられ太輔はその場に倒れ込んでいた。
「っユリ......」
間違いなく太輔に傷を負わせたのはユリだった。
ユリの銀色に輝く毛並みは今まで殺してきたものの血により薄汚れていた。
「っユリ......ユリっ!!!」
俺は思わず叫んでいた。
もう、これ以上
誰も傷つけないでくれよ......