第14章 奇跡を信じるのならば...
太輔side
「っ......」
「グルルルル......ガウッ!」
「かはっ......!」
俺達の仲間は次々とユリちゃんとリョウガ君に倒されていく......
「っ止めろ二人共!こんなこと......君達が望むことじゃないだろ!」
「違う......
これが俺達の願いだ......」
「っ......」
「人間は全部殺すの......
お前達も......」
「っ......!」
ユリは太輔の元に歩み寄っていた。
「っ藤ヶ谷君!......っ!?」
圭人は太輔を助けに行こうとしたが......
「お前の相手は俺だ......」
「っ......」
圭人の前にはリョウガが立ちはだかっていた。
「混血種如きが......すぐ片付けてやる......」
「っ......!」
(殺気が凄い......!)
「っけいt..「ガウッ!」...くっ!」
ユリは唐突に太輔へと襲い掛かり、前足に噛み付いた。
そして太輔はその場に倒れこんだ。
「ぅ......!」
白狼の体長はおよそ150cm、子供でもなかなかの大きさである。
一方のニホンオオカミは大人でも114cmとかなり小さい。
その為あっさり振り回されてしまう。
「ふんっ......白狼は全狼族の王であり最大級のでかさを誇る狼だ。
ニホンオオカミ如きが勝てる相手じゃねぇよ.....」
「っ藤ヶ谷君!......っ!」
圭人は思わず倒れ込んだ太輔のもとに駆け寄った。
だが圭人も複数の傷を負っている為少しぐらついていた。
「お前......何でさっきから他の奴を心配している?
今は自分のことを守るだけで、精一杯なはずだろ?」
「うん、そうだね......
このまま戦い続けても俺が負けるだけかもしれない......けどね!
友達の為にがんばる......それが人ってものなんだ!」