第5章 〈ONE PIECE〉お前の夢の果て
「おれは……」
「いいじゃないか、キッド」
「キラー」
それまで、後ろであの説教以降何も言わなかったキラーが言葉を発した。
「だが……」
「いい機会だ。『ASL』のライブ構成や音響なども学んで来い」
「でも、あいつらには……」
「あいつらにはおれも一緒に説明する。なあに、裏切ったなんて思わんさ」
キラーは普段のライブでも隠している顔に笑顔を浮かべた。
「乗っ取るくらいの勢いでやってやれ」
「……あァ」
キラーに釣られて笑顔になる。
「わかった。任せろ」
キラーと拳を突き合わせる。
『よし! そうと決まったら、早速曲を聞いてもらわないとな! 監督、もうそろそろ昼休憩ですか?』
プロデューサーは監督を笑顔で振り返った。
『ん? ああ、そうだね。みんな! 休憩にしよう!』
『はーい!』
スタッフは手を止めて、ゾロゾロと休憩室へ入って行く。
『さあさあ、おれたちも』
プロデューサーはニコニコと笑いながら、おれとトラファルガーの背中を軽く押して一緒に歩き出した。
「楽器とかの演奏はないのか?」
『ない予定だよ。したいなら、する?』
「どっちでも大丈夫だ」
「おれとユースタス屋が出ることは非公開なのか?」
『うん! スペシャルゲストって形にさせてもらってるよ! 歌うタイミングはエースくんとサボくんとも話し合わないといけないからまだ決めてないけど、多分アンコールの1曲目になるんじゃないかな? ああ、それに向けてVも撮らないとね』