第25章 〈キドル〉おれのものになればいいなんて
〈偉大なる航路〉後半の海、“新世界”のとある島。
「あァ?」
「あ!」
栄えている島の酒場で2人の船長は再会した。
「“麦わら”……」
「お前、シャボンディの!」
先に酒場で酒を呑んでいた赤髪の男は店に入ってきた麦わら帽子を被った少年を睨んだ。
「こんな所で再会するなんてな」
「しししし! 久し振りだな! 元気だったか? えーと……」
少年は顎に手を当てて首を傾げ、目の前にいる赤髪の男をまじまじと見た。
「ギザ男?」
「何だ、ギザ男って」
呆れたように言葉を発し、男は持っていたグラスを机の上に置いた。
「ユースタス・“キャプテン”・キッドだ。良く覚えておけ」
「しししし! おう!」
麦わら帽子の少年はニカッと笑うと、キッド海賊団が座っている机の周りで空いている椅子に座った。
「なあなあ、ギザ男!」
「“キャプテン”・キッドだ」
名前を覚えない少年に対し、キッドは諭すように静かに言った。
「どっちでもいいじゃねェか! お前ら、この島で何やってんだ?」
「……」
キッドはため息をついた。
「食料と武器の調達、それとログが溜まるのを待ってるだけだ」
「へー」
少年は目の前に座っている男の話も聞いているが、それよりも机の上に並べられた肉に目が行っていた。赤髪の男もそれに気づいたのか、再びため息をついた。