第22章 〈ロー〉あなたの声を聞かせて
「……ねェ」
「何だ?」
事情が終わった後、ローとマレはベッドの中で寄り添って寝ていた。
「……気持ち良かった?」
女は顔を真っ赤にさせて、男に聞いた。
「……ふっ……」
男は悪戯っぽく笑って、マレの頭に手を置いて金色の短い髪の毛を撫でた。
「何でそんなことを聞く」
「……」
女は口元まで布団を被った。
「だって……」
上目遣いで男を見ながら、マレは恥ずかしそうにしている。
「何だ?」
“死の外科医”と呼ばれ、恐れられている男とは思えない程の優しい声音と瞳でローは女を見つめる。
「声……あんまり出してくれないから……」
「声?」
男は怪訝そうに眉を寄せる。
「……わたしは……気持ち良くて声が自然と出ちゃうのに……ローは全然出さないじゃん?」
女はローの薄そうに見えて鍛えられた胸元に顔を埋める。
「だから……気持ち良くなかったのかなって思って……」
「……」
男は胸元にいる女を見て、ふーと息をついた。
「マレ」
名前を呼ばれて、女は顔を上げる。灰色の男の瞳と目線がかち合う。
「そもそも、男は気持ち良くなかったらイけねェよ」
「そ、そうかもだけど!」
女は男の大きな手に頬を包まれる。