第20章 〈エース〉それでもあなたが……
マリンフォード頂上戦争が終わり、初めて迎える1月1日。この日、白ひげ海賊団の面々は冬島の近くを船で進んでいた。空から雪が降っている。
「キーナ」
甲板に1人立って、空を見上げているわたしにマルコが船から出て来て声をかけた。
「あら、マルコ。外は寒いし、もう夜だから寝るんじゃなかったの?」
「その予定だったが、なかなか寝れなくてよい」
モコモコのコートを着て、手をポケットに突っ込みながらわたしの隣に立つ。
「……ねえ、マルコ」
「なんだよい」
わたしと同じように空を見上げて、マルコは答えた。
「今日って1月1日よね?」
「そうだねい」
1月1日。世の中では年が新しくなった、特別な日。でも、わたしにとっては少し違う。
「エースは……今頃何してるんだろうね」
今日はポートガス・D・エースが生まれた日。わたしの……世界で一番大切な人が生まれた日。
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