第12章 〈サボ〉昔から変わらない
「連れてってよ……。わたしを海に……」
「……」
おれは黙って、ルリを抱き締めた。強く強く、抱き締めた。
「後悔……しないのか?」
「……するわけないじゃん」
少しだけ体を離して、再び彼女と目を合わせる。
「わたしは……あなたと一緒にいられるだけでいいのよ。サボ」
ニコリと目を細めて眩しく笑う。
「ったく」
おれも自然と笑顔になる。そして、彼女の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「準備はしてあるのか?」
「もっちろん。あなたの行動がおかしいから、念のために準備しておいたの」
そう言った彼女の背中にはリュックが背負われている。
おれはその姿にまた笑った。
(本当に変わらない……)
ーずっとずっと、こいつは変わらない。強くて、真っ直ぐで……愛おしい。
「さあ、行こうぜ」
おれは彼女へ手を伸ばす。
「うん!」
彼女はおれの手を取り、また笑顔になる。
おれたちは2人で海辺へと駆け出した。
〜おれは誓う
お前を一生かけて守ると〜