第11章 〈ルナミ〉俺の船の航海士
(まずい……!)
完全に怒らせてしまった。
刃物を持った男が走って近付いて来る。
「……っ!」
わたしは体の前に腕をクロスさせた。ーーこんな防御、何の役にも立たないことは分かっている。ただの気休めだ。目の前まで刃物が迫り、思わず目を閉じる。
「……ゴムゴムの……」
少し離れたところから、聴き慣れた声が聴こえた気がした。
わたしはハッとして、目を開ける。
「ジェットピストルー!」
わたしの後ろから、勢いよく腕が伸びて来て目の前の男の子腹にクリーンヒットする。男はそのまま吹き飛ばされ、壁に激突した。
「だ、誰だ!?」
他の男たちは慌てた様子で、わたしの後ろを見る。
「げっ!? あいつは……」
男たちは頭から汗を流して焦っている。
「ルフィ!」
わたしは後ろを振り返り、自分の船の船長の名前を呼ぶ。
彼はニカッと笑った。そして、足に力を入れてジャンプする。1秒も経たない間に、わたしの隣へと飛んで来た。ボキボキと指を鳴らす。
「お前ら、覚悟できてんだろうな」
「っ! クソッ!」
男たちは腰に携えた剣を抜く。
「俺の船の航海士に手ェ出して、覚悟できてんだろうな!」