第11章 〈ルナミ〉俺の船の航海士
「なあなあ、いいだろ?」
「おれたちと遊ぼうぜ」
「……」
街で買い物をしていたら、そこら辺のチンピラに絡まれてしまった。
「おい、聞いてんのか」
1人の男が腕を引っ張ってきた。
「ちょっと!」
反応してしまうと余計に絡まれてしまうと思い、ずっと無視をしていた。しかし、この時ばかりはわたしも抵抗をせざるを得なかった。それがいけなかった。
「お、やっと反応した」
「!」
(しまった……)
こういう輩は無視を決め込んで、自然にいなくなるのを待っていた方がいいのだ。
(どうしよう……)
今日はいつも一緒にいるロビンがいない。ーー助けてくれる人が近くにいない。
「なあ、遊ぼうぜ」
気持ち悪い笑いを貼り付けながら、その男は顔を近付けて来る。
「……め……」
「あ? 何だって?」
わたしの声が聞こえなかったらしく、その男はもっと顔を近付けて来る。
「……ッ! やめてって言ってるのよ!」
わたしは思いっきりその男の顔を殴った。
「グァッ!」
拳が男の顔にクリーンヒットし、顔のパーツがめり込むくらい強く殴った。その反動で男がすこし後退る。
「いってェな……」
男は顔を押さえながら、わたしを睨んだ。
「クソッ、大人しくしてりゃ良かったものを……」
男は懐から何かを取り出した。それは光り輝く尖ったもの……。