第10章 〈ロー〉感情の読めない人だから
「……」
ーーわたしは両親が戦争で死んでから、ずっと意地悪な親戚の家にいた。そこで、お店の手伝いをしながら、嫌がらせを受けていた。毎日毎日、明日は両親の元へ行ってもいいかなと思いながら生活をしていた。そんな時に、彼らと……ハートの海賊団と出会った。お店で彼と話していた時に言われた。
ーお前、面白いな。
あの時、意地悪そうに笑った彼の顔を今も忘れていない。
ーそんなに嫌なら、おれが連れてってやろうか?
この生活から逃げられるならと思ってついて行った。
「嫌なわけ……ないじゃないですか」
小さな子どものようになった彼の頭を撫でた。
「あなた達に出会って……毎日が楽しくて、幸せです。わたしを……」
ー連れ出してくれて、ありがとう……。
「……」
船長は体を起き上がらせた。
「船長?」
「そうか」
船長はベッドから離れた。
「?」
「お前……おれのことは好きか?」
「え?」
目をパチパチとまばたきさせた。
「好きですよ? 当たり前じゃないですか」
「……そうか」
船長は部屋の扉を開けた。
「船長?」
「もうそろそろご飯の時間だろ。行くぞ」
そう言うと、彼は扉の向こうへと行ってしまった。