【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第3章 心に負った深い傷
ーー窓の外は漆黒が広がっている。その窓を真っ赤な炎が包み込んだ。建物の中は炎が暴れていて、とても暑い。触れていないのに、体が燃えてしまいそうだ。
(どうしてこうなったの? 何で? 何で……)
わたしは1人、呆然としてその場に膝をついて座り込んでいる。もう、立つ気力すらない。
「ミーウ……行きなさい!」
目の前にいる、最愛の人……その人は苦痛に顔を歪めながら、わたしに言う。
「嫌……」
わたしは何回も頭を横に振った。何度も言われた。逃げろ、早く行け、と……でも……。
「ミーウ!」
俯いていた顔を上げて、目の前の人を見る。その人は穏やかな表情をしていた。
「ミーウ……約束して。わたしの代わりにあの人に会って……お願い……」
「……」
ーーそんなこと言わないで……これが最期なんて……大好きなあなたを置いて、わたしだけ逃げるなんてしたくない。
目の前の人はわたしに近付いて、優しく、だけど、力一杯強く抱き締めた。
「ミーウ……大好きよ。愛してる」
涙が溢れてくる。その人の肩に顔を埋めて、しっかり抱き付く。ーー離れたくない。このまま、ずっと一緒にいたい。