第3章 Ⅲ お前のために
「・・ハル?」
「あぁ。どうした?」
「私、ハルの部屋に腕時計忘れてない?」
「腕時計・・?ちょっと待ってろ。」
「たぶんお風呂場に置いてきたようなきがするんだけど・・・」
俺は風呂場に向かった
タオルなどが置いてあるカゴのなかを探してみると真咲のものだと思われるシルバーの腕時計があった
「あったぞ」
「・・・ほんと!よかったー、ありがとう。」
「どうする、これ」
「あ、そうだね、えっと・・・」
・・・・・!
俺はふと渚と真琴の言葉が頭をよぎった
『コンクールがあるらしいね。』
『マキちゃんも出るんじゃないか?』
・・・・・・・。
「・・・今週末」
「うん?」
「今週末、コンクール・・・出るのか?」
「えっ・・うん、何で知ってるの?」
「渚が言ってた。俺ら隣の会場で大会があるんだ。」
「そうなんだ・・!がんばってね。」
「あぁ。だからその・・・そのときに・・届けるよ。」
「ありがとう。演奏が終わったら見に行くね。」
「あぁ。」
「じゃあ、またね、ハル。」
「・・・あ、真咲・・・!」
「うん?」
「その・・・、元気か・・・?」
「え?クスッ」
「いや・・・//その「元気だよ。」
「・・・そうか」
「うん!いま元気になった。」
「・・・いま?」
「そうだよ。ハルのおかげでね。」
「・・・?どういうことだ?」
「ふふっ、なんでもないよ。今週末、会えるの楽しみにしてる。」
「・・・・あぁ。がんばれよ。」
「ハルもね。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
そうして俺は電話を切った
真咲の声が聞けただけでなんだか心が軽くなった
今週末、真咲に会える・・・
はやく・・・会いたい