第20章 ♡Story17♡ 記憶
「百合ちゃん......一旦、中庭の方に出るかい?」
「......はい、そうします......」
百合は心を落ち着かせるために柊と共に中庭に行くことにした。
中庭...
「......何で太輔は、私の事...覚えていないんだろ......」
「......記憶喪失は一時的なものがほとんどだから、
そのうち君の事を思い出すよ。」
「っそうかもしれませんけど......でも、不安で仕方ないんです......
私の事...ずっとわからないんじゃないかって......」
「百合ちゃん......」
「っ......」
俺は自然と百合ちゃんを自分の胸元で抱きしめていた。
「大丈夫だよ......君の事、絶対思い出すから。
だから......そんな顔をしないで......」
「っ柊さん......」
このまま.....ずっと君を抱いていたい......
「でも今は......好きなだけ泣いていいんだよ?
君が泣き終わるまで、ずっとこうしているから......」
ずっと、俺の中で閉じ込めていたい......
「ぅ.....ヒック...ヒック......」
その後百合ちゃんは、
声が枯れるんじゃないかってくらいの声で泣き続けた。
周りの目なんて気にせず、俺はただ彼女を抱きしめていた......。
それかしばらくが経ち...
「......落ち着いた?」
「っはい......でもすいません、
はしたないところをお見せしちゃって......」
「ううん、気にしないで......今の君の心境を考えたら、当たり前のことだよ。」
「ありがとうございます、柊さん......
明日からまた撮影が始まるのに、こんなんじゃいけませんよね(苦笑)」
「......。」
「でも、一生懸命やらせて頂くので...っよろしくお願いします!」
百合ははにかみながら微笑んだ。
「百合ちゃん......」
(無理して......笑わなくてもいいのに......)