第18章 ♡Story15♡ 撮影開始!
「......よーい、はい!」
『......。』
音姫としばらく見つめ合った奏はすぐ傍にあった
グランドピアノの鍵盤蓋を開け、
音姫の楽譜を楽譜板に置く。
『......?』
『......この曲、弾いてくれるかい?』
『ぇ?ぇっと...ぁ、あのぉ......』
『いいから......早く弾いて。』
『っ......さっきから、一体、何なんですか?』
『早く弾け、何度も言わせるな......』
少し苛立ちを見せる奏。
『っ......』
音姫は渋々椅子に座り、鍵盤に手を添える。
だが震えるあまり弾くことが出来ない。
『......どうした、早く弾かないのか?』
『っわかり、ました......ふぅ......』
音姫は深く深呼吸をし、
再び鍵盤に手を添えピアノを弾き始める。
~~♩~🎶~~~~♬♪~~~
二人しかいない音楽室には
音姫の弾くピアノの音色だけが聞こえる。
「なかなかの腕前だ。
この感じなら全て百合に任せても大丈夫だろう。」
「そのようですね。」
監督と副監督が感心しながら言う。
(百合ちゃん、良かったね(微笑))
後ろの方で百合を見守る涼介は微笑みながら思った。
そして音姫は全ての曲を弾き終わる。
『......。』
音姫は一気に力が抜け、椅子から落ち床に座り込む。
『......大丈夫かい?』
奏は座り込んだ音姫に手を差し出す。
『ぁ...はい......大丈夫です......』
音姫は奏の手を掴み、その場から立ち上がる。
『いきなり無理をさせて悪かったね。』
『ぃえ、私が勝手に座り込んだだけですから......』
「はーいオッケー!
少し長いシーンだけど、よく頑張ったね。」
「ありがとうございます、監督。」
その後も順調に撮影が続き、
撮影は今日のラストシーンだけとなった。