【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第1章 【流川楓】 君に出会ったその日から
「めんどくせー」
流川はアスファルトの上にへたりこんでいる二人のそばに屈み、その頭を順番に撫でた。
「どあほー。両方持ってくればすむだけの話だろーが」
「でも・・・パパ、あまり甘いもの食べないし、食事も制限してるでしょ」
「かまわねー」
おめーらがくれるものなら、なんでも食ってやる。
そんくらいはどうってことない。
「加州も、もみじも、オレにとって初めての女だからな」
「え?」
首を傾げる加州とは対照的に、“うん!”と嬉しそうに頷くもみじ。
「だから、今からでもいいから、二人とも好きなモンを作って寄こせ」
初めて、バレンタインデーのチョコレートが欲しいと思った女。
それは、加州、もみじ。
お前らが初めてだ。
「帰るぞ」
もみじの右手は、加州。
もみじの左手は、流川。
それぞれ繋ぎ、三人並んで家路を歩く。
今日、流川は初めてバレンタインチョコレートを食べた。
それは、大きなハート形をしたミルクチョコレートと、ホワイトチョコレート。
甘くて、幸せな味だった。
Fin.