第5章 二日目 ー昼ー
森山side
こんな簡単な作戦で上手くいくのか心配だったが、思いの外
上手くいった。
宮地「意外とバレないんだな」
森山「ああ。正直、ジロジロ見られるかと思ったが、大丈夫だな」
宮地も俺も、ホッとした笑みを浮かべた。
俊はといえば、楽しそうに辺りをキョロキョロと眺めている。
それでも、宮地の手(俺は握らせてもらえなかった)を離さないのは、
伊月の元々の性分だろう。
宮地「あ、食料品館はこっちな」
森山「宮地お前……常連だな?」
宮地「ああ、近いし、タイムセールも多いしな」
少し会わない間に、主婦になっていた。
森山「で、何買うか決めてるのか?」
宮地「ああ。人参玉ねぎキャベツトマトレタスパプリカ長ネギカボチャキュウリ。
こんな感じだ。ちなみにトマトには美容にいいリコピンが含まれていて……」
森山「あっ、もう結構ですハイ」
宮地の話を遮ると、ものすごい形相で睨まれた。
目線をそらすと、カキのタイムセールが目に入った。
森山「宮地、そこにカキのタイムセールが……」
言い終わらないうちに、宮地は歩き出した。
宮地「よしすぐ行くぞ遅れんな買い占めるぞ」
……そういえば、コイツカキフライ好きなんだっけ。