• テキストサイズ

[CDC]23の1-1

第1章 人間と国とシフォンケーキ(APH/ロヴィーノ・ヴァルガス)


*





「私、シフォンケーキ好きなんです」

一人分に切り分けた、ふわふわの生地をフォークでつつきながら言いました。「余計な飾りが何にもなくて、気取っていなくて、とても好きです」

「俺は基本なんでも食えるね」


テーブルの中央に置かれた一輪挿しの薔薇の花。その花びらの向こうに座るロヴィーノさんが、大きな口でケーキを頬張る姿が見え隠れします。


「お菓子はなんでも好きなんですか?」

「割とな。なまえは?」

「私は、穴の空いてるお菓子が好きです」


シフォンケーキは、ひとくち食べると口の中がふわふわしっとり。あっという間に舌の上から消えてしまいます。夢の時間と同じです。


「なんだよ。穴の空いてるお菓子って」

「ドーナツとか、バームクーヘンとかです。あとは、」

うまい棒、と呟くと、ロヴィーノさんは、何なんだよ、それ、と声をあげて笑い出しました。




土曜日の午後。窓の外は日が傾きかけていて、どこか牧歌的に感じられます。シフォンケーキはチョコレート味。日めくりカレンダーの日付は14。ここイタリアでは、今日は恋人たちが愛を確かめ合う日です。






- おしまい -
/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp