第2章 誰も知らない
「そろそろ戻ろうぜ。甘酒ありがとな。美味かった。」
どれぐらいの時間が経ったのかな。
冷たい風はそのままに夜は一層更け、真っ暗闇を月明かりと無数の星達が照らしていた。
その夜空が今晩はとても綺麗に思えて、離れがたい気持ちにさせてくる。
「私はもうちょっと残るね。空を眺めていたいの。」
「でも寒いだろ。」
「少しだから平気だよ。」
はにかんだ笑顔を見せるけど本当は少しだけ寒かったり。
でも甘酒も飲んであったまってるから少しだけなら大丈夫だよね。
「お前な、だってほら手、こんなに冷えて…あったかい?」
平助君が私の手を取る。平助君の大きな手のひらも熱を帯びていて心地いい。
「オレも一緒に見るよ。でも少しにしとけよ?」
暖かな手を取り合いながらキラキラ輝く冬の空を2人で見上げてた。
この2人で飲んだ甘酒の本当の意味は
私以外誰も知らない。