第26章 【何かおかしい】
「でもホント美沙さん大事にされてるね。」
谷地が言う。
「お陰様で。私めっちゃラッキーやと思うわ。兄さんもお父さんもお母さんもめっちゃ優しいもん。」
「お兄さんのはおかしいでしょ、あんた絡むと王様ビビらすレベルで怒るとかどーなってんの。」
「うるせえ月島っ、ビビってねえっ。」
ここで日向がぶっと吹き出したので影山は日向の頭をゴリゴリやる。
「いやそれは私もよーわからんのやけど。」
美沙は困ってモゴモゴ言う。自分がうっかり大好きなどと伝える前から義兄は自分に対して過保護気味だったのだから言われても答えようがない。
「まぁおかしいのは流石に気づいてるか、あんた完全なボケじゃないだろうし。」
「山口、助けて。私、月島語わからん。」
「ちょっと、言い方。」
「ツッキーは心配してるんだよ。」
「そうなん、月島。」
「別に。とりあえずあんたら兄妹、2人共お互いのことになったら何かおかしいよ。」
美沙はうーんと唸って、片方の手首にした義兄から新たにもらった方のブレスレット、それも義兄が前回の反省を踏まえたのか美沙でも留め金を外さないと着脱出来ないサイズ、を見つめた。