第15章 【最近の悩み】
「俺今思い出したんだけど」
美沙と影山の勢いが削がれたところで日向が言った。
「美沙、いっぺん休み時間に縁下さんに呼ばれてなかった。」
「やな事思い出してくれたな日向、そーや。」
「あれ何だったの。」
「帰り遅(おそ)なるんやったらちゃんと自分と家に連絡入れろって、わざわざ。」
「ええっ、そこまでするのっ。」
山口が声を上げ、
「やり過ぎでしょ。大体親はともかく自分のとこに連絡入れさせてもどーにも出来ないじゃん。」
月島が呆れて言う。
「まだマシやで月島、いっぺんなんか飴ちゃんもろても知らん人についてくなて言われたし。」
「子供か。」
菅原が突っ込む。
「他にもですね、外行こうとしたらそんな格好やと寒いから上着着ていけとか制服のリボン曲がってるとか雨降りそうやから傘持っていけとか。」
「ごめん訂正、むしろおかんか。」
排球部のおかんポジションである先輩に言われては世話ないと美沙は思う。
「もっと凄まじい話しましょか、いっぺん図書館寄ってちょい遅なった時に何が起きた思います。」
「何があったの。」
「図書館出たら兄さんが迎えに来てた。まだ暗くもなってへんのに。」
谷地と山口がゲゲーンっと激しい衝撃を態度で示した。月島はジトッとした目をし、日向と影山は何だかよくわからんが大変そうといった顔、挙げ句の果てには菅原が堪え切れなくなったのか腹を抱えて笑いだした。
「ちょ、何それ、何か縁下のキャラが面白い事になってるっ。」
「菅原先輩、笑いすぎやっ。」
膝をバシバシ叩いて笑う菅原に美沙は関西弁で抗議するが菅原の笑いは止まらない。
「だってっ、過保護にもっ、程がっ、アハハハハハハ。」
先輩が笑い転げるので美沙含め一年連中は反応に困り沈黙するしかない。菅原がやっと落ち着いてから日向が言った。