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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第13章 【義妹の突撃】


2-4の教室にたどり着いてからは少し迷った。義兄が中にいるかどうかよくわからない。が、これも迷っている場合ではないと思った。教室のドアが開いているので覗いてみる。幸いだ、成田が近くにいた。

「成田先輩、」
「あれ、美沙さん。どうしたの。」

成田がやや驚く。

「うちの珍しくおドジな兄います。」

美沙は尋ねた。成田の近くにいた2-4の連中があいつ誰だ縁下の妹だ、とザワザワするが美沙は無視する。成田はちょっと待っててと呟き、

「えんのしたぁー、妹さん来てるぞー。」

教室の奥にいる義兄を呼んでくれた。だが少しまずかったかもしれない。さっきザワザワしていた連中が出たぞ兄貴、といった様子でまた何やらざわついている。それに気づいて少し困ったように微笑みながら義兄がやってきた。

「美沙、一体どうしたんだ。」

美沙は義母から預かった届け物を力の鼻先に突き出した。

「お忘れモンのお届け。」
「あ。」

力の顔が少し赤くなった。

「お母さんに頼まれて持ってきた。兄さんが珍しいな。」
「ありがとう。」

力はでもさ、と呟く。

「だったら先にメール何かくれれば。」
「送ったよ、もちろん。せやけどメールもメッセージアプリも電話も全然反応ないんやもん。待ってても埒あかんのやったらとっとと来た方が早いやん。」

目を合わせないくせにベラベラ遠慮なく喋る美沙に今回ばかりは反論がしづらかったのか、力はごめんよと言いながら力なく笑った。

「お前、人見知りの癖に意外と勇気あるよな。」
「普通やで。」

美沙が思ったままを言うと義兄が今度は面白そうに笑った。

「ああ、お前にとってはそうだろうね。何にせよありがとう、助かったよ。」

力は言って美沙の頭をポンポンした。
近くにいた2-4の連中がやはりそんな兄妹をジロジロ見ているので美沙は落ち着かないが義兄は完全に知った事かとでも言いたげに堂々としている。

「ほらそろそろ行きな、また入室許可証の世話になるぞ。」
「げ、またって何で知ってるん。」
「いーから行きな。」
「はいいいいっ。」

美沙は弾かれるように2-4の教室から去った。やはり義兄の笑顔の威圧は恐ろしい。
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