第13章 【義妹の突撃】
気弱そうとか眠そうとか無茶苦茶言われる一方実はしっかりものでリーダーシップも取れる美沙の義兄、縁下力だが何分彼も人間であるから失敗だってする。今日はその典型だった。
朝の縁下家でのことである。美沙は着替えて朝飯を食していた。義兄の力は既に朝練の為出てしまっていた。いつものことである。しかし朝は通常以上にボケていて周囲が見えない美沙はこの時珍しく異変に気づいた。
「お母さん、このお弁当はお父さんの。」
関西弁イントネーション丸出しで美沙は義母に尋ねた。テーブルには自分のよりややでかい弁当の包みがある。義母は振り返り、その包みを見て声を上げた。それは力の分だという。
「ゲ、ほな兄さん忘れてるんや。」
珍しいこともあるものだと義母はいい、美沙はその意見に賛成する。そして義母は美沙に届けてやってくれないかと言った。
「わかった。休み時間かどっかで行ってくる。」
美沙は快諾した。
さて、美沙の算段では直接義兄のいる2-4に行くのは憚られたのでメールかなんかで義兄に連絡して他の場所で落ち合って受け渡しをしようと思っていた。義妹が直接出向いたら義兄だって困るだろう。だがしかし、