第55章 【自分で決めた】
「月島、アンタなぁ。私は月島語わからん言うてるやろ。」
「ちょっと、前から思ってたけど勝手な言語体系作らないでくれる。」
「だって山口おらんかったら私アンタの意図全然わからんもん。」
「なまじ頭と口が回るから変人コンビよりタチが悪いな、アンタこそ縁下さんじゃなきゃついてけないネタばっか吐いてるって自覚あんの。」
「失敬な、常識の涵養(かんよう)に努めてるだけやっ。」
「失敬とか言い方古いし、アンタの知識はおおかたが非常識でしょ。」
「何も知らん奴よりえーやんっ。」
「だからタチが悪いって言うんでしょ、無駄に語彙が多いな、まったく。」
「アンタの周りが語彙足りん奴多いだけやろ。」
いつの間にやら美沙は月島とわあわあ言い出して盛り上がり、更に月島語を訳しては山口がうるさいと言われ、谷地がまあまあとなだめたりして昼休みは面白いことになった。
美沙は思う。巡り合わせもあったけど、自分で決めた、だから今のこの時があるんだと。
さて、この一連の出来事は影の薄さを逆手に取った義兄の力に全部聞かれていて、美沙は後でふぎゃぁぁぁと叫ぶ羽目になる。
次章へ続く