第43章 【岩泉の心配】
「最初っからそういえ、このボケ。」
「ありゃ、悪口のバリエーションがどっかの飛雄君とあんま変わらへん。」
「うるせーっ。つかおい、何さり気にタメをdisってんだ、とんでもねー奴だな。」
「影山がようヒョロヒョロのスマホオタク言うてくるからつい。」
「おめ、もしそれ影山からリアルに言われたらどう返すんだ。」
「過去にアメーバ、ゾウリムシ言うた事が。他に言うとしたらクロレラ、ハネケイソウ、ミドリムシ、かなぁ。」
「おめえと口喧嘩したらヤバそうだ。」
「ふつう、」
「じゃねーよっ。」
そうやって後の方はわあわあ言いながら美沙は岩泉と別れた。正直岩泉に心配されたのは意外だった、別に放っておいたところで彼に何の責任もないのに。なんちゅうええ人やろかと美沙は思いながら家に帰る。
「心配かけてもて悪いなぁ、せやけど」
家に帰り、自室で着替えた美沙はため息をついた。
「ごめんなさい、やっぱり。」
ベッドの上で丸くなり、例のでかいきのこキャラのぬいぐるみをギュッと抱きしめながら思い浮かぶのはやはり義兄、力の顔だった。そして
「ばあちゃんも、ごめん。」
美沙は呟き、ぬいぐるみに顔を埋めた。
美沙は例によって知らないが、別れた後岩泉は1人呟いていた。
「踏み越えてくるのはきっと、兄貴の方からだな。」
次章に続く