第41章 【青葉城西と遭遇】
今度は金田一が発言する。
「その、どうしてそんなに妹さんのこと」
金田一の素朴な疑問、どうするつもりなのかと美沙は義兄の様子を見守る。
「ああ、うん、うまく言えないけど、こいつが最初のうちから俺を慕ってくれたからかな。」
金田一は不思議そうに美沙を見、美沙は恥ずかしいのでそっぽを向いた。
「最初のうちからですか。」
「うん。」
横で聞いていた美沙ははて、と思った。縁下美沙になりたての自分はもともとの人見知りの上に慣れない環境で固まってばかりだったという認識だったのだ。
「兄さん、私そんなんやったっけ」
呟く美沙に力はお前ね、と言う。
「大して日も経ってないのに私はあなたの妹であなたの為に戦いますみたいな事言えるか。」
「そんなこと言ったんですか、カッケーっすっ。」
「いやいやいやいや私そこまで言うてへん。」
「言ってた事はほぼ同義だったよ、美沙。」
「嘘やん。」
「ホンマです。」
自分は相当おかしい人なのかと美沙は激しく悩む。おまけに金田一に凝視されるので困ってしまった。
「誰かと全然違うな。」
ボソリと金田一が呟く。
「何の話。」
「美沙は聞かなくていい話だよ。」
「わかった。」
美沙としても人の事情に入りたいわけではない。そんなこんなで美沙は義兄に連れられ青葉城西の連中と別れることとなった。
「じゃーなー、ままコー。」
「あ、こらっ。」
「何でお前ハンネ(ハンドルネーム)で呼ばれてんの。」
「知らん、あの人、えーと花巻さんか、が勝手に。しかも兄さんがハンネという言葉を覚えてる。」
「誰のせいだと思ってるんだ、ほら行くぞ。」
「引っ張らんといてー。」
この後、帰宅した美沙はまたも義父母の目を盗んだ力に連絡もせずに野郎共と遊んでた罰だと訳のわからないことを言われて拘束されてしまった。実際はいつもと化した抱っこではあるが力は妹をなかなか離そうとしなかったので拘束と言って良いだろう。