第39章 【伝説の始まり】
「スマホ持つ事になった時、ばあちゃんが作ってくれました。ちょっとゆっくり目に作ってくれてたからスマホも入るし、薄い音楽プレーヤーとかちっちゃいメモ帳とかも一緒にいれとけます。便利です。」
「ずっと下げてるってことは大事にしてるんだな。」
「はい。」
まだ落ち着かないのか美沙はそのガジェットケースの紐をいじりながら言う。
「スマホが好きなの。」
「はい。というかコンピューター的な物が好きなんかも。」
「そうなんだ。」
「もともとパソコン触っとって、ばあちゃんがその辺理解ある人で、これからの世の中使われへんと困るやろからって。ただ、ばあちゃんもともとちっさいパソコンつこてたけどそれを下げんと私のは新しくしてくれたんです。どない段取りしてくれたんかわからへんけど。」
「へえ、いいおばあさんだね。それにパソコン得意なんだ、凄いな。」
「あ、あの、それほどでも。とりあえずネットに繋げてネットサーフィンしてメールしてローマ字入力で日本語入力してソフトをインストールしてよく使われる機能の一部だけはさわれて、後はSNSに投稿くらいなんで。」
力はここでぶっと吹いてしまい、美沙は驚いた顔をした。
「え、あの、私何か妙な日本語言いました。」
「いや、日本語はあってる、あってるよ。」
力は笑いをこらえながら言った。
「あのさ、それ誰かにやり方教えてもらったの。」
「学校の情報の授業でちょっとだけ。後はようわからんかったらWEB検索しながらだましだまし。」
「それでそんだけ出来たら充分だと思うけど。」
「へ、いやあのでも林檎印のコンピューターとスマホはようわからんし。」
力は堪え切れなくなりあはははと笑ってしまった。美沙は激しく困惑した顔をする。
「うん、あのね、」
うっかり出てきた涙をぬぐいながら力は言った。
「普通林檎印とそうじゃないのとかそんな話いきなり出てこないから。」
「あれ。」
明らかに本人は素だった。こりゃ両親は凄いの拾ってきたなと力は思う。
「面白いな。」
「せやろか。」
「うん、正直見た感じからじゃさっき喋ってくれたみたいな事が出てくるって思わない。」
美沙は首を傾げ、力は今の可愛いかもと思った。