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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第34章 【雛人形2015】


あまり良いとは思えないが力はこの後きっちり親の目を盗んで義妹の部屋に突撃した。

「兄さん、あの、その。」

ベッドの上、横に寝転がる義兄に美沙はおずおずと言った。力はうつ伏せの義妹の背に片腕を乗せ、手はその肩を掴んでいる。

「当分嫁にやる気はないから。」
「いやあのせやから冗談やて。それにお母さんの手前それっぽいこと言うとかんとこっそりこんなんなってるのバレるやん。」
「へえ、お前にしちゃ考えたね。」

力はふと笑って体を起こす。

「でもあんま良くない冗談だった。次言ったら」
「言うたら。」
「ペンタブ没収、期間は2ヶ月。」
「数少ない私の楽しみをっ、ひどすぐるっ。」
「ああ、スマホアプリとタッチペンで代替するズルっこもなしな。」
「何でわかったんよっ。」
「田中や西谷じゃあるまいしあれだけスマホアプリの話聞かされりゃわかるよ。」
「うわーん、瀬戸の内海(うちうみ)に帰るー。」
「お前あっちの出身じゃないだろ、あとそんな遠く行かせないから。」
「ちょっ、まっ。」

結局力は美沙を抱っこして逃げられないようにしてしまい、いつも通りのオチだった訳だがこの日ばかりは心の中で思った。

おばあさん、貴方の孫とこうなってごめんなさい。でも離したくないんです。大事にしますから、許してください。

そうして迎えた3月3日は家族でささやかに美沙が健やかに育つことを祈りつつ祝った。美沙にとっては初めてだったらしくめちゃくちゃ照れていたが大変嬉しそうだった。

次章に続く
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