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【ハイキュー】エンノシタイモウト

第30章 【及川の助言】


「それもそっちはサイズぴったりじゃん。結局またはめられちゃったんだね。」

図星なので美沙は黙ってそっぽを向き、及川はそれを面白がる。

「困った子だねぇ。前に俺が言った事忘れたの。すぐ忘れるような子には見えないんだけど。」

美沙は俯き小さく言った。

「覚えてる。兄さんに聞いたら前及川さんの言うたことは当たってるって言うてた。」
「だよねー、メッセもくれてたよねー。」
「おい、」

岩泉がややイラっとしたように口を挟んだ。

「話が見えねえ、とっとと進めろ。」
「もー岩ちゃんはイラちなんだから。て、あ、美沙ちゃんの言い方がうつったっ。」
「いやもうええから」

岩泉がそろそろ及川を殴りそうだったので美沙は話を進めた。

「なんにせよ、私は誰かに恨まれる覚えはないです。」
「まあ起きちゃったもんはしょうがないとして。」

及川が言った。

「おにーちゃんは美沙ちゃんのその状態知ってるの。」
「直接言うてへんけど、友達が男バレのマネージャーやからもう情報回ってると思う。」

ふむふむと及川は呟いてからふいに核心をついてきた。

「お家帰りたくないんだね。」

美沙はギクリとする。

「おいグズ川、何企んでる。」
「企んでないよー、なんてこというのさっ。」
「まっっっっっっったく信用できねーな。」
「溜めてまで言わなくていいよっ。」

幼馴染同士がわあわあ言い合うのを美沙はぼんやり聞きながらホンマどないしようかと考えていた。
残念ながら言われた事は図星で帰ったらまず義母の目にとまり、間違いなく何があったのか問いただしてくる訳だがそれでも時間を先延ばしにしたくてさっきまでノロノロと歩いていたのだ。
まだ帰りたくない、だが立場上あまり妙な事をするといくら優しい義母でも気分が良くないだろう。それでもこのなりを見せなくてはいけないことに激しく抵抗を感じる。
泣きそうな顔をする義兄や胸を痛める義父母を思い浮かべただけでも恐怖だ。

「ちょっとだけだよ。」

及川が呟いた。

「もうちょっとだけお喋りしとこうか。女の子1人置いとくわけにもいかないし。」
「こんなブサオタのコミュ障に何かする人おるかなぁ。」
「まだそんなこと言うか、この子は。」
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