• テキストサイズ

【ハイキュー】エンノシタイモウト

第28章 【アイドル】


たまたま押し付けられた委員会で遅くなり義兄の力と一緒に帰ることになった時のことである。他の連中は先に帰り美沙は男子排球部の部室に入らせてもらって義兄を待っていた。義兄は着替え中、美沙は外で待つと言ったのだが義兄の力は聞き入れなかったのだ。

野郎の着替えを凝視する趣味はないので待っている間美沙はキョロキョロと部室の他のところを見ていたのだがふと壁に貼ってあるアイドルグループのポスターが目にとまった。巷で人気、しかし美沙はあまり興味のないMKU38の水着ポスター、よく見るとメンディングテープらしきものがいくつかひっついている。排球部の野郎共が自分の贔屓のメンバーを明示しているのか。どうにも解せないのは成田のロリコンとか田中のヘンタイとかだがそれは突っ込まないでおこうと思う。笑いをこらえながらテープに書かれた文字を追っていると義兄の力が書いたらしきのがある。

"ツンデレ女子好き・M"

ふーんと思った。美沙から見れば義兄の力はSな気がするがまぁネタが多分に混じってる感じの自己申告だ、置いておく。が、ふと思う。義兄の力は自分が妹になってから排球部の仲間にまで重度のシスコン呼ばわりをされているが何故そう言われるレベルで自分に構うのだろう。力は一度自分のような根性なしを慕ってくれるからだと言ったが義兄の態度物腰を考えると大抵の子から慕われるだろうに。現に日向以下排球部の1年連中は力を慕っている。
何故、旧姓薬丸美沙である自分なのか。

ちょくちょく他から言われる。可愛くない、態度物腰が女子っぽくない、オタクで表情が固い、気弱な癖に行動がぶっ飛んでてどっかおかしい、マイナス評価ばかりである。親切だとか口を開くと面白いとかわりとプラス方向で言ってくれるのは男子排球部の連中くらいでそれでも月島は常日頃から半分ボケとかアホの子とか言ってくる。美沙が関西弁で話すのを月島が許したのは奇跡だとすら思う。

まあそんな感じで美沙はポスターで微笑む義兄のご贔屓のメンバーと義兄からもらったブレスレットをつけた自分の手を交互に見ながらグジャグジャ考えていた。何で私なんやろ。
/ 224ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp