第1章 【始まり】
いきなりであるが烏野高校2年4組男子バレー部所属、縁下力の家に家族が増えることになった。そして育ててくれた祖母を亡くし行き場もなくした少女、薬丸美沙はこの度縁下美沙になり、縁下力の妹になった。
そうしてなんやかんやで美沙は力と同じ学校に編入することになり、引越しもし、烏野高校1年5組縁下美沙としての生活が始まった。
勿論最初は簡単ではない。力からしたら16になっていきなり義妹ができましたなんて激変にも程があるし、美沙からしたら歓迎されてるっぽいと言えど血縁のない家に引き取られてやっていけるのかという話だ。
最初兄妹はお互い態度が固く、美沙はそもそも新しい家族全員に対して敬語が抜けなかったし力も新しい妹を名前で呼ぶまでにかなりの時間を要した。
学校でも美沙は時期外れの編入生であることと姓が2年の縁下力と一緒であることを人様に聞かれたら答えていいのかとか答えたらどう思われるかとかに怯えていたし、力はせめて同じバレー部の連中には妹が出来た事を伝えたいがどのタイミングにしようかと悩んだりした。
結局のところ兄妹は迷っても仕方ないとそれぞれで結論し、お互いについて美沙は力を兄さんと呼び、力は義妹を美沙と呼び捨てにしてよいという話で落ち着く。