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紅く染まる百合

第4章 調査


「最近『あまざらし』が出たのはこの辺か……」
資料を見ながら、小さな公園の大きな木を見上げる。太い枝に、何かを吊るしていたような生々しい傷がついている。

「…今まで出没していた場所に、規則性はないみたいね」
私は予め出没場所を記した地図を取り出してササコへ見せる。

「みゆきさん凄いですね、こんな地図を用意するなんて」
目をキラキラとさせながら、ササコが感嘆の声を上げる。可愛らしい表情を直視できず、ふっと視線を地図に向ける。

「ちょっと気になってね。個人的に作ってみたんだけど……」
ササコはじっと地図を真剣な眼差しで見つめている。
「みゆきさん、これは『あまざらし』を追い詰めるのに、とても重要なヒントになります。見てください、一見不規則に見えますが……」
ササコの懸命な説明に耳を傾ける。確かに、一見不規則に見える犯行だが、一定の法則性を持って行われていた。

「さすがね、ササコ」
「そんな……!みゆきさんの地図のお陰です!」
両手を振って謙遜する姿もまた可愛らしい。
だが今は、そんなササコの可愛らしさを堪能している場合ではない。

「では、次犯行が行われるとしたら……」
「ココ、ですね」
ササコが指さす。最近出来たばかりの大きな公園だ。
「では班長に連絡をするわ。そちらもクインクス班を集めて」
「分かりました」

お互いのチームに連絡を取り、集合場所を指定する。決戦の日は近い。予想と天気予報が正しければ、犯行は今夜行われるはずなのだ。
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