第10章 とんでもなく好きで ポルナレフ
「不足中ー、私とーっても足りないんだけど」
俺の向かい側に座っているのは2つ年下の彼女。
何が足りないって俺の事だろ?と笑ってやりてーところだが生憎そんな乙女チックな女じゃあねぇのは俺が一番よく分かっちゃいる。
「ハァ?昨日も見せてやったろーが!」
「一日一回!それでも足りないくらいよ!」
はやくはやく!と急かされるが俺はあんまり見せる気にはなれねえ。だが可愛い彼女の頼みだ、見せてやらんでもないがな…
「きゃーーーッ!チャリオッツー!!」
亜理紗が好きなのは俺じゃあなく、恐らく俺のスタンド『シルバーチャリオッツ』。自らのスタンドは持っていないのに俺のスタンドは見えるらしい。持ってるのかもしれねーが見たことがない。しかも驚いたことに、チャリオッツに触れることができる。それがコイツのスタンド能力なのかもしれねーな。
「…あんまり触んなよ」
「え、いいじゃない。減るもんじゃあないんだし」
俺とチャリオッツは感覚が通じ合っている。だからチャリオッツが攻撃されれば俺も傷つくし、俺が怪我をすれば負傷部位も現れる。だから亜理紗があんまりベタベタ触ると俺にも感覚が伝わってきて触られているのに触られていないっつー変な感覚に陥る。
「ほっそい体、ポルとは大違いね」
「黙っとけ!」
確かにチャリオッツは美しいさ、だが俺より亜理紗からの好意の視線を浴びるってーのはどうなんだ?そりゃあちょっと違うだろ。
「亜理紗、俺とハグするってのはどーだ?」
「…なんでそんな事しなきゃならないの」
なんっだこの女!俺の女だっつーのを忘れたわけじゃあ、
「直接できないからやってるんでしょ」
チャリオッツで隠れた向こうから聞こえてきた小さくて可愛らしい声に俺は抱きしめざるを得なかった。
END