第22章 濃い味がお好み? アヴドゥル
「やっぱりスナックでもイタリアンでも、濃い味のほうがおいしいと思う」
突然すぎる彼女の告白にわたしは手元にあった雑誌から目線を亜理紗へと向けた。
「アヴドゥルさんは?濃い味の方が好き?」
「どうしたんだ、突然そんな」
「いいから、薄味派?」
深い意味も感じられなさそうなので、
「その料理とマッチする味なら薄くても濃くても好きだな」
とだけ言った。
亜理紗は納得したのかしてないのか、フーンと言ってTVを見た。
料理番組をやっているらしい。カレー特集?面白いものをやっているんだな…。
香辛料がきいていたほうがおいしいんですよね、という声が聞こえた。そういうことか。
「カレーなら、濃い味の方が好きだ」
すると亜理紗はバッとわたしの方をむいた。気にいる答えだったようでよかった。
「日本にはね、薄い味のカレーもあるの」
「薄い味のカレー?なんだそれは」
野菜をたっぷりと、それからバナナ、味噌なんてものを入れるらしい。
味噌は万能なんだな。味噌をつかう料理なんて味噌汁くらいしか思いつかないんだが。カレーにまでいれてしまうとなると味噌も侮れない。
「次日本に行く時はぜひ食べてみてね」
「ああ、そうさせてもらうよ」
できれば君の手作りが良いんだけどな、なんて…ガラじゃあないか。
亜理紗は忙しそうに手元を動かしているようでメモをしているらしい。
料理番組では『味噌を使ったカレーライス』が紹介されていた。
END