第7章 初太刀・初脇差
「…主君、お願いします。この二振りをお助け下さい!!」
「ぼ、僕からも…!」
前田君、そして、五虎退からもお願いされてしまう。さっき、黒髪の少年は”兄弟”って言ってなかった…?
本当にそうなら助けないと、それに放っておけない。この怪我って放置してると絶対折れるよね?
「前田君、手入部屋の準備お願いできる?」
「分かりました。」
「ボクも手伝うよ!前田。」
「ぼ、僕も!」
乱と五虎退は靴を脱ぎ、足早に手入部屋に向かった。他の刀剣達も手入しないといけないのかもしれない。…持つかなウチの力。絶対に二回目の気絶が来るぞコレ…。
他の子達も靴を脱ぎ、本丸内に足を踏み入れた。
「アンタがこの本丸の大将か?」
黒髪の美少年がウチに話しかけて来る。彼を見てると、某執事のお坊ちゃまに見える。って言うか、似てる。
「一応、そうなってますけど…。」
「有難うございます。」
背中に背負っている為首だけだが、少年はウチに一礼した。突然の事に驚きを隠せない。寧ろパニクってます。
「え、いや、別に…。それより、早く手入部屋に行って下さい。私の力が持つかどうか分からないから…。」
目を逸らしつつ話せば、少年は笑顔を見せてまた、お辞儀した。礼儀正しい子だな…。
彼等は今剣が誘導して連れてってくれていた。
そう言えば、加州の姿が見えないような…。玄関の自分の靴を履いて外を覗くと、丁度入って来ようとした加州と遭遇した。
「吃驚した…。何やってんの?」
「え、いや…加州の姿が無いな~って思って…。お帰り。」
ただいま。素っ気無い、いつもの返しに苦笑いする。加州も結構傷だらけだし、刀装が剥げている気がする。
また、刀装作ってもらわないと…。なんて考えていると、また見知らぬ顔がそこに居た。
何か、今日は新しい顔を見まくっている気がする…。
「えっと…、」
「この人も刀剣。何処の本丸にも属してないーー、」
「”国広”…!?」
加州の言葉を遮り、玄関口から和泉守さんが吃驚してる顔を見せた。え、え?何?
「か…”兼さん”!?本当にいた…。」
黒髪の青い目の青年。長めのショートで赤いピアスをしている目鼻が整っている美形。
「”堀川国広”。兼定と同じ様に新撰組の刀で、”土方歳三”の脇差だよ。」
「はあああ!?」
間抜けなウチの声が本丸中に響いた瞬間である。
