第6章 ”オカミさん”
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千隼達が万事屋を出た後、自身を”オカミさん”と言った赤い濃い口紅が目立つ妖艶な女性は、彼女等を手を振りながら笑顔で見送っていた。
彼女等の姿が見えなくなった瞬間、笑顔がふと真顔になる。
「帰ったわ、”彼女達”。…言わなくてもいいわね。」
自分の言った事が言った相手にとって愚答だと言わんばかりの言い方だ。
それもそうだ、千隼達が出て行ったのと同時に二階から先客である四人が降りて来ていた。
「いや~ここまでになると、あそこまで変わるもんだな…。加州清光。驚いた、驚いた…。」
黄色の目に白い髪、着物も白い全身真っ白な男性の平均の身長より高い男が笑いながら、段差に腰かけた。
「どうでもいいな…。」
四人いる中、この男だけ三人から離れた所に、壁に寄りかかって立っていた。
容姿として、襟足が長く右側にそれを流した髪型、黒髪で毛先が赤い、それに黄色の目。色黒で左腕にはタトゥーが有る、こちらも平均身長より高い男。
「内心、そうは思ってないでしょ?君…。でも、元気そうで良かった…。」
色黒の男に向かって一言言った後、店の扉に目を向ける男。先程、彼女等が居た時話した男でもあった。
右目は眼帯をして隠れているが、この男も黄色の目である。黒髪にホストの様な雰囲気を身に纏っている。一見、俺様の様に見えるが、言い方は物腰が柔らかい物である。
そしてこの四人の中で一番身長が高い。
「そう言ってても、これからだよ。”今”は良くても…。」
四人の中で一番背が低い男が、物静かに一言言う。もしかしたら、この男と加州の身長は同じなのかもしれない。
顔は布で隠れ、確認できない。髪は黒色で襟足が長く、一つに縛っている。上下黒色で、甚平の様なものを着ており、羽織を一枚着ている。
全員が腰に帯刀している。鞘がそれぞれの着ている服の色に対して、顔を隠した男は赤色の鞘の刀を帯刀していた。
「予め伝えてある通り、宜しく。」
一言そう言えば、三人はそれぞれ、それに返答する。布越しでそれを見やると、そそくさと靴を履き始めた。
「あら、もう帰るの?」
「やんなきゃいけない事がいっぱいだから。…確認が出来たから良いよ。」
「もう少し話していたかったわ~。こちらも出来るだけ手を貸すから。」
今度こそ、オカミが言えばーー、
「ああ、守る。」