第5章 今剣 そして、二度目の出陣
「わーい!あたらしいおもちゃですか?」
「違うから!」
今剣の本体にも付ける。
今剣は突然、ウチ等が居なくなって探してたらしい。それに、こんのすけも帰ったらしい。
「今回の戦場は?」
「昨日と同じ、函館。リベンジ戦だね。」
インカムを渡しながら答える。付け方分かるかな…?
「つけれません!あるじさま。」
頑張って付けようとしていたけど、結局ウチに付けるように渡しす。屈んで、今剣の耳に付ける。
「よし!これで大丈夫でしょ。」
「ありがとうございます!」
加州を見やれば、あやつはすんなり付けていた。…ウチの出番はないですね、はい…。二人にインカムの使い方を軽く伝え、実際にやってみる。
「きこえますか?あるじさま。」
「うん、聞こえる。加州は?」
「聞こえる。」
確認ができ、出陣の時が来た。
二人はウチの部屋を出て行く。廊下を覗き、二人が角を曲がるのを確認する。
曲がった…。部屋の中に戻り、昨日のこんのすけがやったみたいに、モニターを出す。半分、今朝貰った茶封筒に同封されていたモニターの使い方を見てだけど。
インカムから加州の声が聞こえる。その奥から、テレビでしか聞いた事のない銃声や色々な音が聞こえる。
「…着いたよ。」
「分かった。これから、函館攻略を始めます。」
さあ、雪辱戦と会い塗れようではないか!!
★★★
場所は移り、木々が青々と生い茂る、林の中。ここは2015年から146年前の1869年の函館。戊辰戦争最後の戦場。
「加州はぼくよりもさきに、きているんですね。ここに。」
「うん、そう。」
加州清光と今剣は木々に隠れながら、先に進む。当然、敵に気を付けながら。
「どんなあいてなんですか?歴史修正主義者って?」
「…会ってからのお楽しみ、って言いたい所だけど…。」
走りながら映る景色を見ていて、突然加州の足が止まる。先に進みそうになった今剣の腕を掴み、大木の後ろに隠れる。
「どうしたんですか?」
「しッ!」
人差指を立て、口の前に置く。静かにと合図を出し、木の隙間から見渡していく。
目を左右に向け、確認をする。そう、足を止めた原因を見る為に。
(…やっぱり…。)
赤い目が何かを見つけた瞬間、大きく開かれる。それは、あの異形の姿ではなくーー、
「土方さん…!」
彼にとって所縁の者だった。
