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審神者と刀剣と桜

第4章 初鍛刀


 着いた部屋は、昨日案内された部屋の一つーー、鍛刀部屋と呼ばれる所だった。
 扉を開ければ、熱気が襲ってくる。

「ここで刀剣を鍛刀して頂ければ、新たな刀剣が手に入ります。」
「え、実際に!?」

 よくは見ていなかった部屋を凝視していたウチの傍らで、予想外な台詞を吐く政府の狐。

「ねえ、今の時代の人間は刀の事なんて深くは知らないでしょ?なら出来るはずないし、なおの事コイツがやったらとんでもない事になるよ。」
「おい!」

 右隣にいる加州はこんのすけにウチを指で示しながら、言う。ウチはその手を叩いて、こんのすけを見る。
 目線の端の方ではオーバーなリアクションで叩かれた手を摩る加州が映る。そこまで強く叩いた覚えはない。

「いえ、鍛刀は式神がやります。その代り、鍛刀での際、力が必要になるので審神者はいないといけませんし、それと同時に近侍となる刀剣も同伴しなければなりません。」

 代わりに鍛刀してくれると言う式神が、ウチの前に現れてお辞儀をする。それに釣られてお辞儀をする。

「では初めてなので、木炭50、玉鋼50、冷却水50、砥石50の配合で鍛刀してみましょう。」

 さも当たり前です。と言った感じで分かんない単語が出てくる。呪文ですか?
 どうすれば良いのか分かんなくて、加州を見上げる。今この状況は、ただ加州と目が合う時間となっていた。

「…何?」

 黙ったまま見つめられる事に嫌気がさしたのか、口を開いてウチに問いかける。
 正直に分かんないって言えば、馬鹿にされるよね…。言おうとして口を開こうとして、口を動かせば、その思考が頭を巡った。

「い、いや、何でもなーー」
「分かんないの?」

 図星の事を挙げられて、肩がビクッと動くのが分かる。意外と何でも気付きそうな奴だから、これだけで分かったかもしれない…。

「…こっちに来て。」

 ウチに対して突然背を向けたかと思えば、付いて来るように促してくる。
 馬鹿にされると身構えていたこっちにとっては、予想外の対応に、唖然とした。

「ボーと突っ立ってないで、早く来なよ。」

 部屋の奥に入っていく加州清光。言われるがまま、背を追って奥に入って行く。
 熱気が入り口に居た時より、感じる。熱くて汗が出ていても可笑しくはない。

「取り敢えず、さっきこんのすけが言った物、教えるから。分からない事聞いてよ。」
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