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審神者と刀剣と桜

第1章 刀選び


 外では桃色の花が風で舞う。
 そんな風景を見ながら思うのが日本に、日本人に生まれてよかったという事。

「聞いてますか?岩動千隼さん。」

 まあ、目の前にいる神社とかで見かける和服姿のおっさんを除いて。
 現実逃避してたのに、このおっさん…。
 ウチは木で作られた建物の中にいる。昔ながらの和式みたいな。その中で、ウチと和服のおっさん、スーツを着た大人の男女二人、計四人がいる。

「しっかりと聞いていて岩動さん。これは貴方も貴方のご家族やご友人にも関係がある事なんですから。」

 釣り目が似合う女の人というのはまさにこの事、なんて言えるほどの美人なお姉さんが言ってくる。
 
(そう言うなら、アンタ達がやりゃあええやん…)

 訴えるようにお姉さんに視線を向けるけど、睨み返される。もう怖いです。
 スーツを着た二人組は政府から態々こっちに派遣した人らしい。和服のおっさんもだけど。
 気づかれないように、溜息を一つ吐く。

 こうなったのは昨日のあの出来事だ……。

★★★

「審神者になってはくれないか?」

 開口一番に聞いたのはこんな台詞。
 高校三年生になってまだ二週間ちょい。突然担任から呼ばれ、担任の後を追って行けば見知らぬ人ばかり。いや、おっさん複数に校長先生(男)や教頭(男)だ。なんだ見知っている顔あったわ。

「は?」

 某魔法少女ばりの言葉に素の返事が出る。知らないおっさんから、腰かけるように促され用意されていた椅子に座った途端だった。

「あ、いや、唐突だったね。すみませんね…。」

 初老ぐらいの見た目の男の人は、困ったようにウチに向かって笑う。なんだか親近感が湧く。
 連れてかれた所は会議室。男の人はウチの向かいに座っている。さながら入試の面接な感じだ。

「政府の者なんだが、岩動千隼さんであっているかい?」
「はい。」
「”審神者”というのは知ってるかい?」
「はい…。授業で習いますから。」

 ”審神者”…物に眠る想いよ起こし、形作る霊能力者の一つ。物が長い時間どんな想いでも募らせていればいるほど、その能力が発揮しやすくなる。
 今、”歴史改変主義者”という傍迷惑な連中により本来あるべき歴史が変えられてしまい、その影響が現在にまで及んでいる。

 ただそれと”審神者”とウチが何なの…?
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