第2章 加州清光
加州清光が戦っている。
敵らしき物体と対峙している。物体なんて言わざる負えない姿を敵がしていた。
蛇の様な骨の姿。手足が無いから、宙に浮いている。武器となる短い刀--短刀を、牙のある口で器用に使っていた。
「あれが、”歴史修正主義者”達が送り込む刀剣です。そして、刀剣があちら側に落ちてしまえば、あのような姿になります。」
さらっと、とんでもない事を言う。それに、
「”歴史改変主義者”じゃないの?」
「”歴史修正主義者”です。」
ウチは名前を間違えて敵を覚えていたらしい。いつもなら恥ずかしいなんて思うが、そんな事を思っている暇なんてなかった。
敵は二体。ウチがディスプレイを見た時には--、
「あ…ッ…。」
あっちこっち着ている服が、切られていてそこから、赤が滲んで染めている。怪我をしている。
ディスプレイの目の前まで、身を乗り出し、これでもかという位近づいた。
(このまま戦わせていたら、確実に…、)
死んでしまう。今もなお、敵は攻撃をやめずに切りかかっている。彼だって、壊れてやるなんて言いながら、反撃している。
「撤退出来ないの?」
これ以上は戦わせたくない。そんな思いで聞けば、こんのすけは無理だと言う。
「こちらか敵が倒れなければ、帰れません。幾ら重傷だとしても。それに、貴女が、彼に死んで来いと言ったんですよね。」
こんのすけの声が冷たく突き刺さる。そう、言った。言ってしまった。
それと同時に、体が、心臓辺りが冷たくなる。鳥肌も立ち始める。こんな事、久しぶりだ。あの時以来だった。
「…言ったね…。頭がカってなれば、いつもこうだよ。取り返しが出来ない言葉を言う。親にも気を付けろってよく言われるのに…。死んだ方がいいのは、ウチの方だ。」
自分に対して嘲笑うかのように、笑う。笑ったって、自分を責めたって、今の状況は変わんない。
「画面を見てください。」
また、顔を伏せて、泣くのを我慢してれば呼ばれる。画面を見れば、彼は服が脱げていた。
どういう状況でそんな事になったのか疑問に思ったが、何故か目が離せなかった。
「”真剣必殺”です。一定の傷を負うと、発動します。」
形成的に不利であったのに、敵を一掃する。一体倒した後、彼は画面から消えた。
次に見れば、その場に意識を失い、倒れた姿だった。