第39章 イルミ=ゾルディック《5》
「あれ?姉さん?」
『あらら、予想より早いご帰還ですね』
家族全員が仕事で出て行く日をわざわざ選んできた私にとっては弟に会うのは予想外で少し驚いた
まぁ、父さんじゃなかっただけましか
なんて考えてる私に弟、イルミが話しかける
「姉さんってゾルディック家と縁切ったんじゃなかった?」
『うん、切ったよ』
「うちに居るの、父さん達に見つかったらヤバイよね?」
『イルミに見つかってる時点でやばいけどね』
相変わらず表情ひとつ変えない彼とは目を合わせず
とりあえず自室への道のりを思い出すため必死に頭を働かす
「わざわざ、うちに何しに来たの?」
『いやね、服を取りに来たんだけど自分の部屋の場所わかんなくて。。。』
ゾルディック家と縁を切ったのはもう5年も前のことだ
最近になって家に置いてある服が恋しくなったっというのが今回帰ってきたというか侵入しに来た理由だ
「姉さんの服なら全部捨てたよ」
『。。。え?』
「だから、母さんが姉さんのこと思い出すからって全部捨てたんだ」
ここまで来た意味が全て消えた。
一気に足の力が抜けその場に座り込む
なんの為にここ2ヶ月ゾルディック家の情報を集めたのか
なんの為にここまで執事たちに見つからないよう侵入してきたのか
「まぁ、せっかく帰ってきたんだし俺の部屋でお茶でもどう?」
『、、、甘いココアが飲みたい。』
「毒入りならあるよ」
気を利かしてくれたのか又は自分が話をしたいだけなのか
きっと後者だとは思うがここはイルミの提案にのってみよう
力の入らない私の腕を持ち上げ担ぎ上げられる
『イルミさん。姉を肩に担ぐのはどうかと思いますが』
「え、だって歩けないんでしょ?だったら俺が運ばなきゃいけないよね」
『はい、まぁ、うん。いいや、』
イルミのお嫁さんになる人は大変だな
お腹の痛みに耐えながら弟の成長を感じた昼下がりの暗殺一家の屋敷
H27.3.11