第38章 ヒソカ《6》
『ねぇ、ヒソカ。首に赤い跡がついてるよ』
「え?」
ゆっくりと外から帰ってきたヒソカの首に手を伸ばす
そんな私に触れられるのを拒むように自分の手で跡を隠す彼
「虫にでも噛まれたんじゃないかな❤︎今日はたくさん飛んでたしね♠︎」
『そっか。念のために絆創膏貼ったほうがいいよ』
持ってくるね
と、行き場を失った手を引っ込め絆創膏を取りに自室へ向かう
「ありがとう♣︎」
背後から聞こえたその言葉に聞こえないふりをして扉を閉める
『……虫、ねぇ……』
引き出しを開け中に手を突っ込み探る
あの跡は”虫”なんかじゃない私には内緒の女がいてる証拠
『あれ?ここじゃなかったっけ』
中々、思っていた感触が現れず頭を傾げ他の引き出しに目を向ける
ヒソカなら”薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)”で跡を隠す事が出来る
わざわざ私に見せにきたのだ何か訳があるのだろう
『………バレてる。とかかな?』
やっと見つけた絆創膏を持ちヒソカのもとへ向かう
どうやら随分と長い間探していたようでリビングには綺麗にメイクを落とした彼がいた
「遅かったね♦︎何かあったのかい?」
素顔の彼はテレビに出ていてもおかしくないほどの容姿を持っている
普段からメイクをしている彼を見ているせいだろうか?今だにその姿には慣れられない
『絆創膏、どこに置いたか忘れちゃって』
赤い跡がしっかりと隠れるように貼り付ける
貼り終わると同時に背に腕を回しつよく抱きしめてきた彼は優しく囁く
「僕の事愛してる?」
『うん。愛してるよ』
「僕も、愛してる」
なんて言った私の髪の下には
”虫”
に噛まれた赤い跡が隠れている
H27.3.11